先日、キッチンリフォームもいよいよ最終日を迎え、養生材の撤去や清掃を行っていた所、新設したキッチンの床の一部で床鳴りを発見したので、直ぐに大工に連絡しました。
元々のキッチンの床は全て撤去して、床を支えている根太も更新し、断熱材を敷き詰め、合板を張った上にフローリングを施工しておりました。
床上からでは原因が分からないので、とりあえず隣の和室の畳をめくり、大工が床下へ潜って行きました。
フローリングの床鳴りの原因は現場の状況等で色々考えられるのですが、一般的には床を支える根太等の下地材に問題がある事が多く、床下の点検が必要となります。
大工が床下に潜ってしばらく時間が経ちましたが、根太等下地材に特に問題が見られないという事で、もしかすると下地材とフローリングの接着が甘いのかも知れないとの事で、床下から短めのビスをフローリングに向けて何本も打ってみましたが、効果はありませんでした。
その後、試行錯誤しながら半日程作業しましたが、結局改善せず、最終手段としてフローリングの床鳴りする部分の上からビスを数発打ち込んでみましたが、それでも改善がみられませんでした。
ここまで作業した上で改善しないのであれば、フローリングを一旦剥がしてやり替えるしか方法がないと判断し、お施主様の了解を得て、後日手直し工事をさせていただく事になりました。
Part1.現況及び養生工事
手直し工事当日、先ずは工事箇所以外にキズを付けたり汚さない様に養生します。
床鳴りがする部分の写真です。↓↓
床上からこれだけビスを打ち込んでも効果がありませんでした。
Part2.既存フローリング切断及び撤去
養生終了後、次は撤去する部分のフローリングを切断、剥がしていきます。
フローリングは割と簡単に剥がれますが、接着剤が下地の合板と強固に接着しているので、接着剤を剥がすのがとても大変な作業でした。
Part3.原因究明
接着剤跡も綺麗に剥がし、表面を綺麗に掃除していよいよ原因を究明します。
一見すると特に異常が見られなかったのですが、目を凝らしてよく見ると、下地の合板を根太に固定するのに一箇所だけ何故か釘が2本並んで打ち込まれていました。
不審に思ったのでその釘を抜いてみると、ついに原因が判明しました。
抜いた釘が下の画像です。
なんと、一見2本打ち込まれている様に見えた釘ですが、この様に変形した状態で合板の中に埋まっていました。
上記の様に変形していたので、一見釘が2本打ち込まれている様に見えたのでした。
最近の大工工事では、金づちで一本一本手で釘を打ち込むなんて事はせずに、エアーコンプレッサーで圧縮した空気の力で釘をバシバシ打ち込みます。
上記の様に釘が変形しているのは、合板の上から打ち込んだ釘が、たまたまその下地の根太を固定した釘とぶつかり、変形したものと思われます。
本来そういったケースでは、釘がめり込まずに跳ね返されるので、大工も直ぐに不備に気づくのですが、今回は運悪く釘とぶつかった角度が絶妙だったのか、変形した状態で合板にめり込んだので、不備に気づけなかった様です。
結果、この変形した釘が合板の中に取り残された状態でフローリングが張られたので、その釘の付近に荷重がかかるとその釘が上下に動き、それが合板と擦れたり、フローリングと擦れる事により床鳴りが発生していた様です。
床鳴りの原因がこの異物によるものだったので、床下からいくらビスを打ち込んでも、床上からビスを打ち込んでも改善しなかった理由に納得がいきます。
まさに
「一本の釘が命取り」
でした。
Part4.手直し工事完了
原因が判明したので、後は剥がした部分のフローリングを復旧して手直し工事が完了しました。
フローリングは再利用ではなく、勿論新品を使用しています。
まとめ
今回の事例では、結果引渡しが延びてしまい、お客様には大変ご迷惑をお掛け致しました。
たった一箇所の床鳴りでしたが、弊社の品質基準では、あの状態での引渡しは許容できませんでしたし、下請けの大工も勿論、同じ想いでした。
私が指示するまでも無く手直しを提案し、自らの出費で手直しを行ってくれました。
今回の事例は「ミス」と言えば「ミス」ですが、なかなかレアなケースだったので、私個人的には大工を責めるのは難しいと思いますが、きちんと原因も究明でき、手直ししてくれたのでそれで十分ではないかと思います。
お客様の立場である一般の方々からは、果たしてどの様な評価を受けるのか不安もありますが、正直な気持ちを表現させていただきました。
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